水害対策 完全ガイド

豪雨・水害の対策
豪雨、台風、洪水、津波など、自然現象にともなう水の災害を水害と呼びます。
自然現象を人間がコントロールすることは難しく、国や自治体の対策もすぐに進むとは限りません。年々増え続ける水害に対しては、自分や家族は自分で守ることを基本にしましょう。
「大丈夫だろう」という思い込みを捨てる
水害による人身への被害の原因で最も多いものは、「ここには水害はないだろう」「雨は大したことないようだから、大丈夫だろう」「少し止むのを待ってから避難しよう」など、思い込みによる避難遅れだと言われています。
川が離れているように思っても、堤防決壊が起きれば広範囲に洪水が起きたり、下水道からの逆流で道路に水が溢れることもあります。また、雨が少量に見えても、河川の上流では大雨なら、数時間後には下流での増水が起こります。そのスピードは想像以上で、被害にあった多くの人が「こんなに早く水が増えるとは思わなかった」と口にしています。雨が止んでから避難するつもりが、あっという間に水かさが増え、移動が困難になったり、ドアがあかなくなることもあります。
「ここは大丈夫」「まだ大丈夫」という思い込みが被害につながります。逃げ遅れて救助される側に回ることは、救助隊や他の人への迷惑にもなります。きちんと事前の情報を収集し、まさかの時は起こり得ると意識して備えましょう。
必要な決めごとや用品はあらかじめ備えておく
危険を感じていても、幼児や高齢の方、足の悪い家族やペットがいる場合、避難に躊躇して逃げ遅れた事例も数多く見られます。また、事前の意思疎通が十分でなくて、家族に避難を拒まれたり、避難行動のすれ違いでいたずらに時間を使い、被害を拡大することもあります。
いざ避難と決めた場合でも、外出している家族または自宅にいる家族と連絡が取れない、大雨の中で足の悪い家族の移動方法がない、どこに逃げればいいのか分からない、近道と思ったルートが水没していたなど、これまでの水害では様々な事例が報告されています。
これらの多くが、事前に必要なことを調べ、話し合い、用意しておくことで解決できます。自然はコントロールできなくても、自分たちの行動はコントロールできます。人命が失われた後では取り返しがつきませんので、自分たちで用意すべきことは最大限に備えておきましょう。
豪雨・水害に必要な対策を確認する
被害の大きい水害対策に必要なことは以下の項目です。
- 洪水ハザードマップの確認
- 避難経路・避難場所の確認
- 水害の情報・ニュースの取得
- 水害警報時と、水害発生時の行動を決める
- 家族が離れている場合の連絡方法を確認
- 豪雨・水害対策に必要なものを準備する
- 徒歩避難の対策
- 自宅避難用の対策
- 自宅やオフィスの浸水・水没・倒壊に備える
- 車の豪雨・水害対策
- 店舗やビルの浸水対策
- ペットの水害対策
- 豪雨・水害の防災会議のススメ
洪水ハザードマップの確認
防災の基本はハザードマップを確認することからです。洪水ハザードマップは水防法第15条の3項により市町村が作成することになっており、各市町村のホームページから確認できます。洪水ハザードマップには浸水想定区域の他、避難勧告や避難指示が出た場合の行動、避難方法など、重要な情報が記載されています。
洪水等で大きな被害の出た地域の住民にアンケートをとったところ、9割以上の人がハザードマップを見なかったと答えた事例もあります(平成27年9月関東・東北豪雨の被災地域における住民調査結果 中央大学河川・水文研究室)。
各市町村の役所から受け取る、ホームページから印刷などして、手元で確認できるようにしましょう。

洪水ハザードマップから、わが家・わが職場の浸水想定区域の確認
洪水ハザードマップには各地域の浸水想定区域が色分けされています。わが家、わが職場の区域を確認しましょう。
家屋の倒壊または沈没の可能性がある区域では早期の立退避難になります。水没しないが床上・床下浸水が予想される地域は、立退避難が望ましいが、自主判断で自宅待機もできます。浸水のおそれがない地域は比較的安全ですので、浸水地域から避難してくる住民のサポートを心がけましょう。
注意点として、洪水ハザードマップは確実な予測ではないことです。想定外の事態は、ほぼ必ず起こり得ます。また、浸水はなくとも、台風や豪雨による土砂災害、地滑り、道路陥没、強風被害、下水道からの逆流の危険もあります。ハザードマップを基本にしつつも、ご自身の環境に合わせて起こり得る被害を想定しましょう。

避難経路・避難場所の確認
避難が必要な地域の方は、避難経路と避難場所を確認しましょう。おもな避難場所は洪水ハザードマップに記載されています。洪水の避難は基本的に「高いところ」です。場所によっては家屋の2階でも水没するため、できるだけ高い場所へ移動しましょう。
高いところといっても崖の場合は大雨の浸透による崖崩れが起きる可能性があります。同様に山の中腹への避難も、土砂災害の危険があります。基本的にはハザードマップで指定されている避難場所へ向かいましょう。災害後の救援もハザードマップ指定の避難場所を中心に検討されるため、特別な状況にない限りはハザードマップや市町村の指示に従う方が安心です。
避難場所まで実際に移動してみよう
避難経路、避難場所には、一度は実際に歩いてみることをお勧めします。洪水ハザードマップには各家庭・各オフィスごとの詳細な避難ルートまでは記載されていないため、各自の調査が必要になります。実際に歩いてみることで、あらためて分かること、見えてくることがあります。家族の場合は交流を兼ねたお楽しみ散歩企画と歩いてみるのも良いでしょう。
事前の避難経路調査で確認することは、川の側を通らないこと(小さい川でも注意)、崖や山、高台の下を通らないこと、地下道を通らないこと、マンホールのある道は避ける(フタが開いていて落ちる危険)ことです。また、避難場所までに間に合わない場合はどこに避難が可能か、高いところを確認しておきましょう。
避難の時間に余裕がある場合は、車で遠方の親戚や知人の家に行くことも可能です。もちろん、避難先の家庭のハザードマップも確認して安全であることを確認しておきます。
車で避難する際の注意
車は30cm以上冠水するとエンジンが停止したり、ドアが開かなくなったりします。道路の架線下など水が深くなっているところの通行は避けましょう。
車が使えない場合に備えて、徒歩の避難ルートも必ず確認しておきましょう。

水害の情報・ニュースの取得
災害情報の入手先を確認し、緊急情報は常時受け取れるようにしておきます。前述のハザードマップで各自治体が推奨する情報源のある場合はそちらを確認します。災害情報の通知機能があるスマートフォンアプリもお勧めです。
水害に関わる災害情報取得の一例
- 気象庁 発表中の気象警報・注意報
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html - 気象庁 全国の指定河川洪水予報
https://www.jma.go.jp/bosai/flood/ - 気象庁 洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/ - 国土交通省 川の防災情報
https://www.river.go.jp

水害警報と、水害発生時の行動を決める
これまで調べた情報をもとに、事前に必要な対策、台風や豪雨の予報で洪水や水害発生の恐れがある場合の行動を決めていきます。関係する家族やメンバー全員の合意・確認が取れるようにしましょう。実感のわかないメンバーがいる場合は、上述のハザードマップや避難経路の確認から参加してもらうと、だんだんに意識が高まってきます。
避難が必要な区域の場合、災害警報のどの段階で避難準備をし、どの段階で実際に避難するか確認します。
避難時の持ち出しや防水対策の確認
避難時に持ち出すもの、置いていくもの、あらかじめ防水対策しておくもの、服装、防災用品等を確認しておきます。過去には一度避難したものの、位牌や家族の思い出の品を取ってこようと引き返し、洪水に巻き込まれて死亡した事例もあります。大事なものほど、置いていくのか、持っていくのか、防水対策しておくのか、預けておくのか、はっきりと決めておきましょう。持っていく場合は、すぐに持ち出せるよう事前準備しておきます。避難用の防災用品や持ち出し品は一つの場所に納め、あらかじめバッグ等に入れておきます。「避難時に必要なものは全部ここに置いてある」と分かるようにしましょう。
子供だけで留守番している時には?
子供だけで留守番している時に水害警報があった場合はどうするか、決めておきましょう。親が帰ってくるまで待つようにするのか、ご近所さんを訪ねるのか、自分で避難所に行くのか、子供と決めごとを交わしておきます。ご近所さんにお世話になる場合はもちろん、事前にご挨拶しておきましょう。
自力での避難が難しい家族や同居人がいる場合
乳幼児、高齢者、介護者、足の弱い家族、ペットがいる場合は、特に事前の準備や決め事が大事です。水害で逃げ遅れた人には、そうした避難の難しい家族がいて、どうにか雨がひどくならないよう見守っているうちに、2階まで浸水してしまった、という事例が見られます。緊急時にとまどうことなく行動ができるよう、必要な準備はしておきましょう。
逃げ遅れた場合はどうするか
最悪の事態の想定として、逃げ遅れてしまい、外に出ることができない場合も検討しておきましょう。そうならないように事前の準備をすることがベストですが、夜中に洪水が起きて、床上浸水で目が覚める、といったこともないとは言えません。
また、浸水の水位が30cm以上になるとドアを開けられなくなります。
こうした事態になってしまった場合に備え、1階から上の階に持っていくものを決めておき、救助を呼ぶ先の確認をしておきます。笛やライトもあると救助隊に見つけてもらいやすくなります。
どうしようもない場合に備えて、屋根裏にボートやライフジャケットを準備しておくことを考慮してもよいかもしれません。いずれにしても、最悪の場合はこのようにする、と事前にシミュレーションしておくことが大事です。
家族が離れている場合の連絡方法を確認
災害発生時に全員が同じ場所にいるとは限りません。勤務中、外出中、学校、デイサービスなど、家族が離れている場合の連絡方法を確認しておきましょう。
チャットサービスで家族のグループがある場合はすぐに確認できますが、使えない家族がいたり、スマートフォンの水没やインフラの障害で使えなくなる場合もあります。まずはこれで連絡して、これがダメならこれ、と、いくつか用意しておくことが望ましいです。
連絡の集約先を決めておく
電話で連絡を取る場合には、連絡の集約先を決めておきましょう。学校に行っている長男は勤務中の父親から指示をあおぎ、デイサービスに行っている祖母から運転中の母親から指示をあおぎ、では混乱が生じます。例えば第一番目には父親に集約することにし、困難な状況の場合は母親に集約するなど、決めておくと混乱が少なくなります。
連絡が取れない場合の行動を決めておく
自宅に子供だけ留守番している場合や、電話やインターネットが通じなくて、家族が全員集まる前にやむなく避難する場合もあります。行き先を書いた伝言メモを常時書くようにしたり、どこに避難するか紙に書いてドアやポストに置くことを決めたり、いざという時の集合場所を決めておくなど、連絡が取れない場合の行動も決めて共有しておきましょう。
災害用伝言ダイヤルの活用
NTTが提供する無料の災害用伝言ダイヤル(171)が有名です。いざという時のために使い方を確認したり、体験利用提供日に使ってみたりしましょう。
- NTT災害用伝言ダイヤル(171)
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/ - 体験利用提供日
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171s/howto.html

徒歩避難の対策
避難勧告や避難指示が出ている場合、現地での雨はそれほど降っていなくても、避難途中で急に雨量が増えたり、想像以上の早さで浸水して水位上昇することがあります。慌てることなく安全に避難するために、必要なものをそろえておきましょう。
レインコート・レインポンチョ
傘は避けてレインコートまたはレインポンチョを着けましょう。傘は強風に飛ばされやすいうえ、手がふさがるので、避難時に思わぬ困難が生じやすくなります。
底の厚い靴
浸水が始まると、いろいろなものが流れてきます。しかし、避難時は水や雨で地面が見えないことがあり、危険なものを踏んで足を傷つけることがあります。底の厚い靴か、インソール等で強化しましょう。
なお、長靴は洪水や浸水時の避難に不向きです。すぐに長靴へ水が入り、脱げやすくなります。
長い棒
道路にかなり水が溜まっている状態での避難には、長い棒の使用をお勧めします。水や雨がで地面が見えない中で歩くと、危険物やフタの空いたマンホールの穴に気が付かないことがあるためです。家族や集団で移動する場合は、先頭の人が棒で地面をさしながら、安全を確認します。
懐中電灯
これまでの水害で避難が夜になる事例が多く見られます。防水の懐中電灯を用意しておきましょう。バンドで頭に取り付けられるヘッドライトがあると、両手が空いて便利です。特に避難時に先頭に立って先導する人は、棒で足元を確認したり、後続の家族の手を引っ張ったりと、手が埋まりがちです。
救助笛
避難途中で移動ができず、立ち往生してしまった時にそなえて、救助笛を用意しておきましょう。
厚手の手袋
避難時に障害物をどかさないといけない場合、また、水が引いた後に浸水した自宅の片付けに、厚手の手袋があると便利です。
家族の連絡先(子供向け)
子供の持ち物に家族の連絡先を入れておくと、万が一離ればなれになってしまった時に、保護してくれた方が連絡を取りやすくなります。水で濡れて読めなくなることがないように防水対策をしておきましょう。
ロープ
浸水が進み水位があがると、思いのほか足を取られて転倒したり、流されることもあります。小さな子供や足の弱った年配者は特に危険です。家族やグループなど数人で移動する場合は、離ればなれにならないよう互いの体をロープでつないでおきます。
ライフジャケット
建物のかなりの部分が水没するような地域や、避難途中にかなりの水量がある場所を通らざるをえない場合、ライフジャケットを着けて避難することも考慮します。とは言え、身体は水に浮いても、さまざまな障害物も一緒に水に流れてくるため、危険なことには変わりありません。ライフジャケットがあるから安全とは思わずに、雨量の少ない段階での避難や、洪水の激しくなる恐れのある箇所を避けた避難ルートの確保を心がけましょう。
防水のリュックやバッグ
避難グッズを入れる持ち出し用のリュックやバッグを用意します。雨で濡れない防水のバッグやリュックがお勧めです。浮くタイプのリュックもあります。また、両手が空くものを選びましょう。
避難場所滞在用の対策
避難所や避難先で使うものをバッグにひとまとめに入れておきます。下記の避難所用の用品を参考にしてください。
避難所用
被害状況によって避難所生活の期間はまちまちですが、最低3日分は自前で用意しておくと安心です。
避難所生活の前提として、「必要な物資が全て支給されるとは限らないので、自分のことは自分で準備する」「他の人と共同使用のため、互いにルールとマナーを守る」ことを大事にして下さい。雨風をしのぐ屋根とスペースがあるだけでも有難いと考え、必要なものは自前でそろえましょう。
また、自治体が用意した避難所に移動できる場合は多少の設備や備蓄品が期待できますが、もともと避難設備のない場所へ避難せざるを得ない場合もあります。高台のビルの一角や、学校の体育館などです。
準備不足で他の人に助けてもらうようなことはせず、他の人を助ける側にまわれるだけの余裕を作れることがベストです。
非常食・非浄水・浄水器・折りたたみできるポリタンク
自治体が非常食を備蓄していても、避難所に必要な量がスムーズに届くとはかぎりません。また、通常は個人の好みやアレルギー対応まで考慮されていないものです。家族3日分の食事は自前で用意しておくと安心です。余裕があればお菓子や甘いものがあると、子供だけでなく大人も不安な気持ちが和らぐのでお勧めです。携帯可能な浄水器があると水には困らず、手洗いなどちょっとした生活用水の確保もできます。また、避難所で水がもらえる場合は、折りたたみできるポリタンクがあると便利です。
廃棄可能な食器類
紙皿、紙コップ、割り箸、スプーンやフォーク、サランラップ、ゴミ袋などです。
避難所では食器が十分に洗えません。廃棄可能な紙製の皿やコップを用意しておきましょう。避難所体験者の声として、皿にサランラップをしくことで、皿を洗ったり廃棄せずに繰り返し使えたというケースもあります。ゴミ袋もあると重宝します。
下着の着替え・おむつ・生理用品
荷物がかさばるので、着替えをたくさん持っていくことはできません。着替えは下着類のみにしておきましょう。下着を替えるだけで随分と清潔感が変わります。必要に応じておむつや生理用品もご準備ください。
歯磨き・うがい薬・ウェットティッシュ・アルコールなどの衛生用品
避難所生活を清潔に過ごすために、歯磨き類、うがい薬、ウェットティッシュ、アルコールなど衛生用品があると安心です。大判のウェットティッシュは身体をふくことができるので、特に夏場の不快感軽減に役立ちます。女性の場合はデリケートゾーンを衛生的にするビデもあると良いでしょう。
感染対策品・医療品
水害発生時には不衛生な水に触れることが多くあり、避難時に障害物にあたり傷ができてしまうこともあります。消毒類やガーゼ、絆創膏などは用意しておきましょう。また、避難所は多くの人が狭いスペースで居住するため、お互いの感染防止のためにマスクの準備をお勧めします。その他、日常で使用している薬や医薬品があればご準備ください。
非常用トイレ
避難所で十分な数のトイレがあるとは限りません。長時間のトイレの我慢はぼうこう炎の発生などの危険もあるので、非常用のトイレをいくつか持ってきましょう。トイレ回数は1人当たり1日5回が目安です。
保温用ブランケット
避難時に体が冷えたり、空調が十分でない場所に避難して一晩すごす場合に備えて、保温用ブランケットがあると安心です。
ラジオ
災害時の情報収集はラジオが適しています。災害時はスマホの電波が通じにくく、SNS等では誤った情報も飛び交いやすく、またバッテリー残量の心配もあります。ラジオは公的機関からの情報が受信でき、電池で長時間使用できます。防水タイプがお勧めです。また、イヤホンを使えるタイプのものであれば、周囲を気にすることなく放送を聞くことができます。
スマホ充電池(モバイルチャージャー)
避難所でコンセントを使うことは、ほぼできないと考えて下さい。スマホが必要な方は、携帯用の充電池があると心強いです。電池タイプがお勧めです。太陽光発電の充電器もありますが、水害の発生する豪雨や台風時は十分に使えないかもしれません。
その他
その他に各家庭ごとに必要なもの、余裕があればあると便利なものを用意します。避難所経験者からの声としては、耳栓(他の人のいびきで眠れないことがある)、布製ガムテープ(仕切り止めや名前書きなど万能に使える)、虫除けスプレー、ライト、使い捨てカイロ、熱中症対策の飴、現金、トランプ(避難所の退屈を乗り切るため)などです。
避難用の持ち出しグッズについて、詳しくはこちらも参照してください。
→防災士がお勧めする非常用持ち出し袋の中身
水の中を歩いて避難する場面に備えて、当店では水害対策のライフジャケットと、水に浮くタイプ・防水タイプのバッグを取り扱っています。
自宅避難用の対策
浸水の可能性が低い地域に住む場合は無理して外に出ず、自宅で待機しましょう。
注意点として、ご自身の自宅は無事でも、電気・ガス・水道のインフラは止まったり、交通網が寸断されて物流が滞ったり、スーパーやガソリンスタンドが営業していない場合があることです。地震や噴火の災害と同じく、社会インフラが一時的に停止する可能性を念頭のうえ、最低3日間、できれば1週間分は自宅で過ごせるだけの準備をしておきましょう。
非常食・非浄水・浄水器・ポリタンク
防災対策では定番の非常食類を用意しておきます。
最近では必ずしも防災食を用意するのではなく、いつも買っている食料や調味料を多めに買って古いものから使い、常に余裕分を確保しておく「ローリングストック」が推奨されています。非常食は長めの賞味期限があると言えど、期限がすぎてしまうと無駄になり、また、家族全員を1週間分そろえるとそれなりのコストになります。また、味覚に合うともかぎりません。その点、いつも食べているもので余裕在庫を持ちながら使うローリングストックであれば、食品が無駄にならず、災害の非常時の心理的安心にもつながります。
水はローリングストックが難しく、断水時には保存水が頼りになります。汚水を浄水できる浄水器もあれば安心です。また、生活用水をためるポリタンクもあると便利です。給水所へ水をもらいに行く際は、折りたたみタイプのポリタンクが便利です。
カセットコンロ
ガスが止まってしまった場合にそなえ、カセットコンロを用意しましょう。非常時に温かい食事がとれることは、心理的負担の軽減にも大切です。
ランタンや非常用ライト
電気が止まってしまった場合にそなえて、ランタンや非常用ライトを用意します。必要に応じて、家族の人数分、明かりの必要な部屋の分を用意しましょう。
蓄電池・発電機
停電にそなえた蓄電池があると便利です。普段から充電しておきましょう。
発電機はガソリンで動くもの、ガスで動くものがあります。ただし発電中はかなり大きな音が出るものが多いため、家族はもちろん、近所迷惑にもなりがちです。どうしても常時電気を使い続けないといけない状況でない限りは、なるべく蓄電池で対応したほうが良いでしょう。
非常用トイレ
水が止まりトイレが使えないときに、非常用トイレが力を発揮します。トイレ回数は1人当たり1日5回が目安です。3日分なら1人15回、1週間分なら1人35回分が目安です。
日用品・医薬品
水害発生時には、しばらく外に買い物へいけない状況も予想されます。いつも使っている日用品や医薬品は多めに用意しておきます。乳幼児がいる場合、おむつは多めに用意しておきます。食料品のローリングストックと同じく、日用品・医薬品も余裕在庫を持ちつつ使うようにしておくと安心です。
自宅やオフィスの浸水・水没・倒壊に備える
水害は早急な避難が原則です。特に水没の可能性がある地域は、警報があり次第すぐに避難します。
それでも、何らかの事情で避難が遅れることも無いとは言えません。救出を待つまでの最悪の状況にも備えがあると、安心度はさらに高まります。
また、人は無事に避難できても、水害によって自宅は浸水、水没、倒壊することがあります。水害後は必要物資、生活用品の物流も滞りがちです。貴重品対策や、後片付けの準備も備えておくことで、水害後の生活の復旧が早くなります。
ボート
避難が遅れ、建物の大部分が水没し、屋根の上に逃げることもできない場合の最終手段として、ボートが必要になります。
ボートは最大搭載人数があります。多少の荷物を積み込む場合や、安定性を考えて、乗船予定の人数プラス1〜2名の最大搭載人数のボートを選ぶと安心でしょう。ボートに乗っただけではそのまま流されてしまうので、オール付きボートがお勧めです。
ゴム製のボートは未使用時は小さく折りたたむことができるので、スペースの少ない家庭やオフィスでも収納は可能です。膨らます際は足を使うフットポンプか、電動のポンプを使います。フットポンプは確実ですが、少し時間がかかります。電動ポンプは楽で速いのですが、水害で停電してしまった場合は使えなく、一般的に高価です。多くのボートにフットポンプが標準装備されているので、まずは一度、実際にフットポンプでボートを膨らませてみるとよいでしょう。使用できるまでの時間や労力も分かり、いざという時の正確な判断につながります。その後で、電動のフットポンプが必要かどうかご検討ください。
なお、安価なボートは災害時の安定性・耐久性に不安があります。家族の最後の砦として用意するのであれば、多少高くても、災害対策やレスキュー用品を扱う信頼できるメーカーのボートを購入しましょう。購入後は災害時のみならず、この機会にアウトドアや海水浴でも使用して、使い勝手をあらかじめ体感しておくと共に、楽しみながら購入費用の元を取ることをお勧めします。
最後に、ボートがあったとしても、洪水や豪雨の最中は危険であることに変わりありません。ボートの使用は最終手段ですので、原則は早めの避難であることを忘れないようにしましょう。
ライフジャケット
ボートと同様、逃げ遅れた場合の必須ウェアとして、ライフジャケットを準備しましょう。徒歩で避難する場合でも、急に水かさが増えた時に、ライフジャケットを着けていると安心です。ハザードマップで水害時の水位が高くなる地域にいる場合、1人1着、最低でも子供用は準備してて損はないでしょう。
災害時に初めてライフジャケットを使う場合は、ひもの結び方が不安になったり、どのような感じで浮くのか分からずにパニックになることも予想されます。購入後は、一度は実際に着けてみて、手順や感触を確かめましょう。可能ならプール(※)やアウトドア、海水浴時に持って行き、使用することをお勧めします。実際にライフジャケットを着けて浮いてみると、幼児は浮いている分、簡単にひっくり返ることもあります。大人も浮いている状態だと子供の手助けが難しかったり、あれよあれよという間に離れてしまったりと、いろいろと気がつくことがあります。ライフジャケットがあるから安心と過信せず、楽しみながら防災訓練をするつもりで、水場のレジャー(※)で少しずつ使ってみることをお勧めします。
なお、浮力のある海での浮き方と、浮力のないプールや河川での浮き方は多少異なります。
※プールや公共の場でのライフジャケットの着用は、事前に使用可否をご確認ください。また、河川は流れが急に変わる場所や深くなるところがあります。ライフジャケットの練習で入水する際も、河岸の人とヒモで繋がっておくなど、注意を怠らないようにしてください。
防水・耐水対応の金庫
万が一水没しても浸水しない金庫があれば、家族や業務上大事なものを入れておけます。耐火性もある金庫であれば、火事と水害の両方に対応できて安心です。なお、金庫ごとに、20cm程度の水没なら浸水を防ぐものや、完全水没しても72時間は浸水を防ぐものなど、耐水・防水への対応レベルが異なります。容量、期待する防水レベル、価格と相談して、ご自身の家庭やオフィスにあったものを選びましょう。
防水対応に頼らず、避難時に金庫の中を全部持って行くことを考える場合は、避難の遅れの原因になってしまわないだけの事前準備や決め事をしておきましょう。
作業用手袋
浸水後の建物は、入り込んだ土砂の掃除や天井や床下を乾燥させるために、家財をいったん外に出すことから始まります。その際に作業用手袋が無いと相当の不便を感じますが、水害後はすぐにそうした物品の調達が可能とは限りません。避難用の荷物の中に、丈夫な作業用手袋を一双は入れておくことをお勧めします。
浸水を防ぐ用品として、当店では吸水式の土のうと、大切な書類を水から守る防水金庫を取り扱っています。
車の豪雨・水害対策
車の保護
台風や豪雨で、車両が水没被害を受ける事例が増えています。車輌の水没を防ぐシート等を準備しておけば、愛車や社用車を護ることができます。
車輌水没を防ぐシートは製品によって、1人でできるもの、2〜3名必要なものがあります。1人でも装着できる製品のほうが、いざという時に安心です。また、短時間で装着できることも大事です。
なお、車の保護に時間を取られて避難が遅れ、人命の安全が疎かになることだけは無いように注意してください。車の保護は、避難勧告や避難指示が出る前に終えてきましょう。

車からの脱出
車での移動時、想定より冠水してエンジンが止まったり、ドアが開かなくなることがあります。ガラスを割って脱出することができるよう、社内には緊急脱出ハンマーなどを備えておきましょう。

車の浸水を防ぐ用品は車両の水没・浸水を防ぐ用品にまとめています。
店舗やビルの浸水対策
ビルや店舗の入り口は、冠水時の浸水を止める止水板、または土のうを用意しておきましょう。選ぶ基準としては、スピードが最も大事です。止水板はすぐに並べて設置できること、土のうは吸水タイプの置くだけで使えるものを用意します。

ペットの水害対策
水害に限らず、ペットの災害対策には次の点が大事とされています。
人の救助が最優先
基本は人命救助が優先とされます。政府や自治体、救助隊の救援も人命が優先です。厳しいことですが、ペットの飼い主は人命が最優先であることを自覚しておきましょう。最悪の時にはペットを解放して自由に逃げてもらうことも考えてください。危機に対する動物の本能は人間を凌駕しています。災害が過ぎ去った日の再会を期待しましょう。
人の支援が優先
避難所の設備や救援物資は人の救援が優先されます。ペット用のフードが支給されることは、まず無いと考えたほうがよいでしょう。ペットお断りの避難所も少なくありません。自分のペットは自分で全て面倒を見ることを心がけましょう。
避難場所でのマナーを大切に
ペット用のスペースがある避難所や、たまたまペット同伴で逃げた場所など、共同で過ごす人がいる場所でのマナーは大切にしましょう。災害時はみんな、心が不安定でストレスが溜まっています。動物で癒される人もいれば、鳴き声や排泄物やアレルギーに不快を感ずる人もいるでしょう。数日間か長期間、他の方と避難生活をする場合、周囲の方へのマナーは最大限尊重することを心がけます。
ペットの防災は飼い主の全責任で
以上のことから、公的な救助や、周囲への過度な理解を求めることは期待せず、ペットの防災対策は飼い主が全て責任を背負うものと心がけておきましょう。数日分の食事、トイレ、避難時の移動方法、ストレスのケアなど、全て自身で備えておきます。決して周囲の無理解を責めることはないようにしましょう。

豪雨・水害の防災会議のススメ
家族、オフィスで事前に防災会議をおこないましょう。
お一人暮らしの場合でも事前の準備は大切です。事前の準備や意思疎通がないと、災害発生時に「どうしていいか分からず混乱する」「準備していたにも関わらず互いに行動がバラバラ」などの事態がおこります。
必要な情報と対策用品の準備、そして行動を共にする方々との意思疎通のために、防災会議は大変重要です。
地域の住民の状況をお互いに把握する
洪水や冠水は警報から思った以上に速いスピードで起きてきます。一人暮らしの高齢者や足の悪い方の逃げ遅れがないよう、地域のみなさんでお互いの状況を把握することをお勧めします。

更新日:2025-12-01
著者:日本防災士機構認定 防災士(上地)
運営:シーノン株式会社